長命寺は武内宿禰（たけうちすくね）の開闢（かいびゃく）、聖徳太子の開基と伝えられる西国三十三箇所31番札所の 天台宗単立寺院である。
　1597年に再建された和様で朱塗りのこの三重塔は、桃山様式を伝える数少ない塔の一つとして貴重である。

（仏塔訪問日記）

本来、この長命寺は800段余りの階段を汗水たらして苦労して上って、やっとたどり着く場所にある。

それが今は、車道が本堂近くまで整備されているので、あっという間に石段の後半まで到着できるようになった。

私も例に漏れず、車で超ショートカットしたので、息を切らして汗まみれで石段を上る中高年の人々の中を 涼しげな顔で二段飛ばしで本堂へ上がって行った。

境内では、800段の石段を上り終えた達成感に満ちた表情で、くつろいでいる人たちがたくさんいた。

「私はこの人たちに比べたら、ズルをしたからご利益は得られないのかな〜？」とか、「いや、車でも狭い車道を 対向車を避けながら苦労して上がってきたから、階段を登った人たちほどでないにせよ、 半分くらいのご利益はあるのじゃないだろうか？」とか、俗っぽい想像をしながら、ゴール地点のシンボル的三重塔を 眺めていた。