812年弘法大師空海が護摩修行の霊場として開創したといわれる。1331年善通寺から長秀上人が訪れ、 現在の地に移し規模を拡大させたとされる。
　和様・禅宗様を折衷したこの三重塔は、建立年代は不明だが、様式から室町時代と推定される。 2・3層が未完で、「未完成の完成」呼ばれ親しまれる。

（仏塔訪問日記）

前山寺へは塩田町駅からシャトルバスで15分で来れるらしいが、便が少ないので、この日は40分くらいか けて歩いてみた。この徒歩が、この日の残りの仏塔巡りに響いてしまうくらい大変だったのだが・・・。

この三重塔には二、三層の回廊、勾欄等がなく、未完成の状態のままであるが、それが結果的に この前山寺三重塔の個性として、抜群の存在感を醸し出す結果になっている。

とかく人は、容姿や性格等、他人と比べて自分に足りないと思えるものを、必死に補いたがるが、この塔を見ていると、 そんなことは、無意味でないかとさえ思えてくる。

一見、自分に足りないと思っていることでも、それがその人の個性であって、素晴らしさである可能性も あるのではないだろうか。