善通寺は、この地に生まれた空海が唐より帰朝後の大同2年（807年）に建立し始め、 弘仁4年（813年）に落成したという。寺号の善通寺は、父の名前である佐伯善通から採られた。
　この五重塔は1884年に再建された4代目のものであり、四国最大(45m)にして、全国木造五重塔の中でも 三番目の高さを誇る。

（仏塔訪問日記）

善通寺は四国最大規模の寺院と称されるだけあって、伽藍は創建地である東院と、空海生誕地とされる西院（御誕生院）に分かれた広い境内を有する。
　駐車場も整備され、土産物屋も充実しているので、お遍路目当てを中心とする観光客も多かった。
　この善通寺五重塔は、今回訪れた香川県内の四つの五重塔の中では一番古いものだが、それでも明治17年再建と比較的新しい。
　先に行った志度寺や法然寺のものは、醍醐寺など中世以前の五重塔を見本として昭和平成に建てられたものであったのに対して、 この善通寺や本山寺の五重塔は、江戸期以降の五重塔建築の流れをくむ逓減が小さく相輪が短いものだった。
　しかしその割には、どっしりとした安定感を感じられ、塔そのものの高さもあいまって見た目の迫力はなかなかのものだった。
　惜しむらくはハト避けのネットが張られて、組み物が観にくかった点であろうか。