佐和山遊園の運営は佐和山三成会。　佐和山城を居城とていた石田光成のテーマパークを構想した地元の実業家が、1976年に着工したものである。
　しかし諸事情により、正式なオープンの日を迎えないまま年月が経過しており、着工から数十年経た現在は、無料開放という形で営業している。
　復元された佐和山城をメインに、その隣りには石田光成が創建したと言われる瑞岳寺も復元した。　その伽藍には、五重塔を始め、 山門、鐘楼、本堂（金閣寺風）などが配置されている。　どこからどう見ても金閣寺を模して作ったと思われる建物に関しては、なぜか瑞岳寺本堂として紹介されている。
　この五重塔に関しては、どこの寺院のものを模したか不明である。　二層目からの軒幅が極端に狭く、一層目が細長いその奇妙な形状は他に例を見ないので、 オリジナルの可能性が高い。
　なお、現在もその実業家は、道楽としてこの佐和山遊園の増築・改築工事を行っているという。

（仏塔訪問日記）

私は、決して廃墟やＢ級観光スポットの類は、マニアではないが、このサイトで新旧の仏塔全般を 紹介している手前、ここ佐和山遊園の五重塔も避けては通れない（？）と考えていた。
　そこで今回は彦根城へ行った帰りに立ち寄ってみることに したわけである。
　似たような廃墟でありＢ級観光スポットといえば、以前に行った淡路島の、 『平和観音寺』 を思い出した。
　その時は友人たちと一緒であり、天気も良かったので、皆で色々ツッコミを入れながら楽しく見学できたのを覚えている。
　しかし、今回はたった一人である上に、時間帯も遅く、おまけに 大雨だったので、否応なしに陰鬱な気分になってしまった・・・。
　雑草が生い茂った荒れた園内を、傘をさしながら一人で見学していると、色々突っ込みどころ満載だったのだが、残念ながら今回は一人。
　一人心の中でツッコミを入れながらのＢ級観光スポット見学は、なかなかの淋しさ、空しさがある。
　次第に、そんなＢ級スポットを、一人で淋しそうに見学している自分自身のことを、更に心の中でツッコんでいるもう一人の自分自身がいた。

廃墟やＢ級スポットの類は、二人以上で、ツッコミ所を色々探しながらワイワイ見学してこそ、楽しいものなのかもしれない。

往時には拝観料を徴収していたと思われるスペースが残っている。　手前の美術館では工事をしていた。
　この期に及んで まだまだ改良していこうというその姿勢には頭が下がる思いである・・・・。

この山門もどこの寺院のものを模したか不明である。
チビッコ仁王像たちがかわいらしく（？）お出迎え・・・。

鐘楼も三門や五重塔と似た色合い雰囲気である。

高台にあるその姿は、ＪＲ彦根駅や国道からもよく見える。
　どこからどう見ても金閣寺もどきのこの建物・・・
　瑞岳寺の本堂という設定のようだ。
　向かって右手に御本尊の佐和山観音様？の像がある。

山門のチビッコ仁王像に比べると、ニセ金閣寺前の仏像の数々は、なかなか精巧に造られているように見える。
　四天王像に仁王像、不動明王像と、見た目が強そうで、カッコいい仏像たちを安易に並べた感は否めないが・・・。

東大寺の持国天像と京都東寺の不動明王像を模したのだろうか？　

歴史上実際に存在した佐和山城は、佐和山（232.5m）にあったとされる。　佐和山遊園のこの廃墟風建物は、 その佐和山城を復元したものということらしいが、その見た目は明らかに、「なんちゃって彦根城」である。

彦根城を見学した後だと、どこからどう見ても、「なんちゃって彦根城」にしか見えない・・・。
　実業家は石田光成を敬愛しつつも、なぜ宿敵徳川方の城といえる彦根城を模して、復元佐和山城としたのかは謎である。

その入り口ではなぜか西洋風の女神像がお出迎え・・・

内部は荒れ放題である。　っていうか、もともと営業してたかどうかもあやしい。　壁は塗りなおした跡がある。

石田光成の雄姿の像・・・といいたいところだが、近くから見ると、細部の造りはかなり雑。
　左に女神像、 右にミロのヴィーナス像を従えている・・・。

石田光成像のサイドに鎮座するミロのヴィーナス像。
敵が攻めて来たら目からレーザービームを発射して攻撃しそうである。

国宝彦根城を見た時とは全く逆の衝撃。
　田舎の国道沿いにある、センスが悪いラブホテルの廃墟のようだ。
　先にこっちに来てから彦根城へ行った方が口直しになったかも？

この五重塔の感想は 省略させていただきます・・・以上。