国宝 住吉神社 本殿 (山口県下関市)










住吉神社
本殿
国宝
1370年(応安03年)

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(歴史)

『日本書紀』(巻9)神功皇后摂政前記によると、三韓征伐の際新羅に向う神功皇后を、住吉三神が 神託してその渡海を守護。 その凱旋途中に住吉三神の神託があり、 神功皇后はそれに従い住吉三神を現在地に祀ったのが、住吉神社の始まりとされている。

現存の本殿(国宝)は、応安3年(1370)に、長門国守護大内弘世が再建したもので、 以後何度も修理がなされてはいるが、再建当時の室町初期の神社建築様式をよく留めているのだという。  祭神を祀る本殿は、一間社流造の五つの社殿を相の間で連結し九間社流造の形式を採っているが、 正面に千鳥破風が設けられ、流造としては非常に珍しいものとなっている。  身舎側面は一間で、正面には浜床および浜縁が取りつく。  祭神は五つの社殿でそれぞれ、第一殿・住吉大神・荒魂(主神)、第二殿・応神天皇、第三殿・武内宿禰命、 第四殿・神功皇后、第五殿・建御名方命を祀っている。


実験的企画 国宝建築評価チャート図

国宝建築の能力値をサイト管理人が独断と偏見で点数化

(※)評価基準

○歴史 建造物の建立された年代の古さを点数化したもの。
 飛鳥時代以前(20点)、奈良時代(19点)、平安時代(18点)、 鎌倉時代(17点)、南北朝時代(16点)、室町時代(15点)、戦国時代(14点)、安土桃山時代(13点)、江戸時代前期(12点)、 江戸時代後期(10点)、明治時代(8点)、大正時代(6点)、昭和時代前期(5点)、昭和時代後期(3点)、 平成時代以降(1点)

○迫力 建造物の巨大さ、あるいは見た目の迫力を点数化したもの。

○美しさ 見た目の美しさを点数化。

○希少性 その意匠や形式などが同じ分類である建造物の現存例の少なさを点数化。

○おすすめ度 管理人のおすすめ度を点数化。主に観光満足度、その他、インパクトなどを重視。

以上はすべて、正式なものではなく、管理人の独断と偏見による評価である。


(国宝建造物訪問日記)

この日は2017年に入って初の史跡巡り。  仕事柄、例年、年末年始は怒涛の忙しさで、2016〜2017年の年末年始も例に漏れずの忙しさだったので、 年があけて二月中旬になってやっと、今年初めての史跡巡りをすることになった。
 行き先は、山口県下関市。 下関市内には住吉神社本殿と、功山寺仏殿という、2棟の国宝建築があるのだが、 どちらも、新幹線「新下関」駅から、『しものせき観光一日フリー乗車券』(720円)というサンデン交通バスの一定区間乗り放題切符で すぐに行ける範囲内だったので、今回は国宝建築巡り以外にも、そのフリー乗車券区間内にある、 しものせき水族館海響館や、海峡ゆめタワーといった、 当サイトのテーマとは全く関係のない観光地もからめて、一日ゆっくり観光することにした。

新幹線『新下関』駅の観光案内所で、『しものせき観光一日フリー乗車券』を購入した私が まず最初に向かったのは、国宝本殿有する住吉神社である。  住吉神社もよりの「一の宮」バス停へは、「新下関駅」バス停からほんの5分程度で到着し、バス停から5分ほど歩くと、 すぐに住吉神社一の鳥居が見えてきた。  一の鳥居をくぐり、石段を登ると楼門が見えてきて、さらにそれをくぐり境内へ。
 そこでまず目にしたのは、 中央に堂々と建つ拝殿(重要文化財)だったが、私の目線はすぐにその拝殿の背後に聳える本殿の方へ移った。

この住吉神社本殿は、 正面に千鳥破風が設けられていることにより、春日大社本社本殿や、 宇太水分神社本殿円城寺春日堂・白山堂などを代表とする、 『春日造』の建造物に見える。
 しかし、サイドからその屋根を見ると、前面に向拝をつけて流れるように延びており、 神社建築形式としては『流造』に分類される建造物であることが理解できる。
 『流造』は、最も数が多い神社建築形式とされており、二番目に多い『春日造』と同様、 井桁型の土台の上に建っており、一般的には小規模なものが多いのだが、 この住吉神社本殿に関しては、一間社流造の五つの社殿を、相の間で連結し、九間社流造の形式を採ることにより、 『流造』としては例外的に、大規模で迫力のある建造物となっている。
 また、五つの社殿それぞれの正面に千鳥破風が設けられている点は、『流造』の神社建築としては極めて異例であり、 最も数が多い神社建築形式である『流造』に分類されながら、その意匠(建築デザイン)の希少性は極めて高い。

『流造』の美しい曲線を描く屋根に、千鳥破風が配された五つの社殿を、それぞれ相の間で連結することにより、 かくも美しく、かくも迫力のある神社建築が出来上がるものなのか・・・。
 私は素晴らしい建造物を見せていただいたことに対する感謝の祈りを済ませたあと、 しばらくの間、その美しい建築風景に見入っていた。

次の目的地は、国宝仏殿を有する功山寺である。


初回訪問日&撮影日 2017年02月16日

(※国宝建造物撮影ポイント)
外観撮影自由だが、柵があるので建物上部のみ。

@一の鳥居


A楼門


B境内(本殿と拝殿)


C拝殿(重要文化財)

天文8年(1539)、安芸国の大名毛利元就が建立した、四方吹放ちの建造物。  木鼻、蟇股、組物などの細部手法に創建時の特徴がみられるのだという。  また、この拝殿は縦長に配置されており、こういった例は少ない。


D本殿(国宝)


E本殿(国宝)


F本殿(国宝)

建物の端から屋根を見ると、流造特有の流れるような曲線の屋根であることがわかる。


G鐘楼

アクセス
JR新下関駅からバス5分、「一の宮」バス停下車、徒歩5分

駐車場 有

国宝建造物巡礼ドライブ難易度(★)

(★)・・・・・・・・・・非常に易しい
(★★)・・・・・・・・易しい
(★★★)・・・・・・ふつう
(★★★★)・・・・難しい
(★★★★★)・・非常に難しい

国宝巡礼おすすめアクセス方法
『しものせき観光1日フリー乗車券』(大人720円)を購入し、下関市内のもうひとつの国宝、功山寺など と合わせてバスで巡るのがおすすめ。


下関市一の宮住吉1-11-1

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