国宝 浄土寺 浄土堂(阿弥陀堂) 兵庫県小野市




浄土寺
浄土堂(阿弥陀堂)
国宝
1192年(建久03年)

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(歴史)

浄土寺は、奈良の東大寺を再建した重源上人によって鎌倉時代の建久年間(1192〜1197年)に建てられた寺院である。
 当時重源は、日本各地七ヶ所に東大寺の「別所」を造った。 そのうちの「播磨別所」がこの浄土寺である。

浄土堂(阿弥陀堂)は、重源によって1192年(建久03年)に建てられたものが現存しており、本尊として快慶作の阿弥陀三尊の巨像を安置する。
 浄土堂は、奈良東大寺南大門と並んで大仏様を代表する建造物である。 方三間の平面構成で、1つの柱間が約6メートルもあり、内部は広大な空間となる。  屋根は宝形造、本瓦葺き、平面の大きさの割に立ちが低いことと、屋根の形づくる線にほとんど反りがなく直線的であることが特色である。  内部は、貫や梁といった構造材がそのまま見えており、そこに装飾を兼ねている。  他に天井を張らず屋根裏に空間をつくらないなど、それらダイナミックな特色は、大仏様建築に見られるものである。


実験的企画 国宝建築評価チャート図

国宝建築の能力値をサイト管理人が独断と偏見で点数化

(※)評価基準

○歴史 建造物の建立された年代の古さを点数化したもの。
 飛鳥時代以前(20点)、奈良時代(19点)、平安時代(18点)、 鎌倉時代(17点)、南北朝時代(16点)、室町時代(15点)、戦国時代(14点)、安土桃山時代(13点)、江戸時代前期(12点)、 江戸時代後期(10点)、明治時代(8点)、大正時代(6点)、昭和時代前期(5点)、昭和時代後期(3点)、 平成時代以降(1点)

○迫力 建造物の巨大さ、あるいは見た目の迫力を点数化したもの。

○美しさ 見た目の美しさを点数化。

○希少性 その意匠や形式などが同じ分類である建造物の現存例の少なさを点数化。

○おすすめ度 管理人のおすすめ度を点数化。主に観光満足度、その他、インパクトなどを重視。

以上はすべて、正式なものではなく、管理人の独断と偏見による評価である。


(国宝建造物訪問日記)

この日は浄土寺を拝観するために、電車で小野市までやって来たのだが、 小野駅を降りると、バスの便のあまりの少なさに愕然。
 次のバスの便を待ってたら日が暮れてしまうので、片道5kmほどの道を1時間くらいかけて歩くことにした。
 だだっ広い田畑や住宅地の中を通る国道を延々と歩くのは非常に疲れたが、 やっと浄土堂の巨大な屋根が見えてきた時には少しテンションがあがった。

ところでこのサイトでは、日本全国に数多くある国宝の中でも、特に建造物にスポットをあてて紹介している。
 だから今回も、浄土寺の国宝建造物である浄土堂をメインに紹介しているのには間違いないが、その浄土堂の本尊であり、浄土堂創建時につくられたという、 阿弥陀如来及び、観音、勢至両菩薩から成る、浄土寺阿弥陀三尊(すべて国宝)を抜きには、浄土堂を語ることはできないだろう。
 同じ国宝でも仏像は、建造物と違い写真撮影が禁止されたものが大半である。
 例に漏れず阿弥陀三尊像も、写真撮影禁止なため、このサイトでその写真を紹介することはできない。
 となるとこのサイトで阿弥陀三尊像を紹介したいと思ったら、拝観した自分なりの感想を文章にして紹介するしか方法はないのだが、とてもじゃないが私には、この浄土寺『阿弥陀三尊像』の その素晴らしさを、たった数行の文章で的確に表現するこは不可能である。
 阿弥陀三尊像の素晴らしさを知るには、実際にその目で見るより他方法はないだろう。

3メートル70センチという巨大な観音、勢至両菩薩と、それらの中央に立つ5メートル30センチという、更に巨大な阿弥陀如来像。
 それら阿弥陀三尊が、浄土堂という大きな建造物内の広い空間を惜しみなく使って配置され、存在する様は、圧巻の一言だ。
 堂内にいると、阿弥陀三尊の神々しいオーラを心ゆくまで感じられた。
 いつしか私は、一時間近くもかけて歩いてきた疲れも忘れ、圧倒的存在感の阿弥陀三尊像が織り成すその神々しくも美しいオーラに、 いつまでも身を任せていた。


初回訪問日&撮影日 2014年10月07日

(※国宝建造物撮影ポイント)

外観は自由に撮影可能。建物内部は撮影禁止。


@駐車場から見た浄土堂(国宝)

綺麗に整備された駐車場は広々しており、浄土堂は遠くからでもよく見える。


A浄土堂(阿弥陀堂)国宝

大仏様建築は非常に珍しく、しかも奈良以外で創建時のままで現存しているのは奇跡に近い。


B浄土堂(阿弥陀堂)国宝

直線的なそのフォルムに思わず見とれてしまった。


C浄土堂(阿弥陀堂)国宝


D浄土堂内拝観入口

浄土堂内部の拝観は通常、歓喜院または、宝持院に問い合わせなければならないようだが、この日は拝観受付の人が待機しており、 拝観料500円さえ払えば誰でも拝観できた。


E本堂(薬師堂)重要文化財

浄土堂とほぼ同形で同じ大きさであるが、浄土堂が方三間なのに対して、 桁行五間、梁間五間である点が異なる。 単層、屋根宝形造、本瓦葺。  もともと浄土道とともに重源上人によって建立されたが、室町時代の中頃に焼失。  現在のものは、永年14年(1517)に再建されたものである。


F八幡神社拝殿(左)と本殿(右)ともに重要文化財

寺記によると、嘉禎元年(1235)に八幡宮を建てたとされており、現存の拝殿と本殿は、 その時の遺構とされている。


G八幡神社拝殿(重要文化財)

前述のとおり八幡神社は嘉禎元年に建てられたのだが、現在の拝殿はその時の 遺構とされているが、幾多の改変が加えられてきた。 桁行七間、梁間三間、寄棟造の割拝殿になっており、 ゆるやかな屋根の勾配や、蟇股などの意匠から、室町時代に多い和、唐、天竺様の折衷形式の 原形といえるのだという。


H八幡神社本殿(重要文化財)

本殿は、室町時代中期の代表的な桧皮葺三間社流造りである。 蟇股内の花鳥や透彫などに その特徴が表れているという。


I開山堂(県指定文化財)

元々の開山堂の創建は不明だが、現在のものは1520年に建造された宝形造、本瓦葺の建物である。


J鐘楼(県指定文化財)

現在の建物は、寛永9年(1632)に加東郡河合郷新部村粟津七右衛門が建立したものである。  袴腰付鐘楼で、和様を基調としながら部分的に唐様を混合した様式。


K不動堂

アクセス 神戸電鉄 小野駅より神姫バス「天神」行きで10分、「浄土寺」下車すぐ

駐車場 有

仏塔巡礼ドライブ難易度 非常に易しい(★)

★1つ→非常に易しい
★2つ→易しい
★3つ→ふつう
★4つ→難しい
★5つ→非常に難しい


おすすめアクセス方法

駅から非常に遠いうえ、バスは便数が少なすぎて全く役に立たない。
 広い駐車場があるので、自動車によるアクセスがおすすめである。

住所
兵庫県小野市浄谷町2094



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