(歴史)
善寳寺は、平安時代に妙達上人が開いたといわれ、室町時代に太年禅師が復興したという。 海の守護・龍神の寺として知られ、
二龍神が棲むという貝喰の池があり、航海安全・大漁を祈る人々が多く訪れる。 曹洞宗の三祈祷所としても知られる大寺院である。
五重塔は、日本唯一の魚鱗一切の供養塔として、明治26年に建てられたもので、38mという屈指の高さを誇る。
(仏塔訪問日記)
この日、同じ鶴岡市内の羽黒山五重塔参拝後、その余韻も覚めぬうちに訪れたのが、この善寳寺五重塔である。
この日は朝から大雨で、羽黒山では結局やまず、その次にここ善寳寺に来ても、雨足は一向におさまらなかった。
私は羽黒山では、「この大雨も大自然の一部だ。五重塔の写真を撮るのに全く支障がない・・・。 いや、それどころかむしろ、
この大雨が、五重塔を美しく見せているともいえよう・・・」 とか、まるで悟ったかのようなことを自分に言い聞かせて、納得した気分になっていた・・・。
しかし所詮、雨はただの雨である・・・。
レンズは曇るし、雨の線が写ってしまうし、おまけに塔の組物などは、くっきり写らない。 何よりも自分自身が濡れて撮影しづらいことこの上ない・・・。
ここ善寳寺の五重塔を撮る際には、一向に止む気配の無いその大粒の雨が、ただただ、鬱陶しいだけだった・・・。
仏塔には、羽黒山五重塔のように、雨の日でも写真写りのいい塔もある。 しかし善寳寺五重塔に関しては、
雨の日の写真写りは最悪・・・、いや、結局は、私の撮影が下手なのだが、広い境内に映える、善寳寺五重塔のその、巨大で迫力のある姿は、是非とも晴れ渡った日に撮影
したかったものである。
話は飛ぶが、90年代初頭にブームとなった「人面魚」が、この善寳寺境内の貝喰の池にいたのだということは、後から知った・・・。
私たちは羽黒山とは違った意味での余韻を残しつつ、次はこの場所から100km近く離れた、新潟県胎内市の乙宝寺三重塔へとレンタカーを走らせた。