(歴史)
輪王寺は嘉吉元年(1441年)、伊達家9代政宗の夫人、蘭庭明玉禅尼の所願により、11代持宗が、太菴梵守和尚を開山として、福島県梁川に創建した。
政宗夫人は、三代将軍足利義満の生母の妹に当たるため、六代将軍義教は、後花園天皇に奏請し、「金剛寳山輪王禅寺」の額を賜ったという。
その後伊達家の居城が変わるのに合わせて輪王寺も転々とし、現在の仙台の地に移ったのは、17代政宗の慶長七年(1602年)、
九世久山光天和尚の時である。 明治維新以後は伊達家の外護を失い山内は荒廃。 曹洞宗の大本山、永平寺と総持寺はその
荒廃を惜しみ、福定無外和尚を輪王寺住職に特選。 無外和尚はその復興に努力し、現在の姿に整えられる。
三重塔は日置道閑和尚の時代に開山五百回大遠忌を記念して建立されたものである。
(仏塔訪問日記)
この日、龍宝寺の次に立ち寄ったのが、この輪王寺である。
駐車場に到着すると、多くの人々が一心不乱に掃除をしていた。
寺の関係者かボランティアかは分からないが、
一人ひとりがニコリともせず、異様な雰囲気だ。
その殺気立った表情で掃除をしている人々を横目に境内に入ると、細い通路にゲートが設置されていた。
すぐ横の券売機で入場券を購入し、それを入れるとゲートを通れるようだ。
私たちは券売機で入園券を買って、それをゲートに通して中に入ると、すぐに美しい庭園風景と、その庭園風景によく溶け込んだ
三重塔が目に飛び込んできた。
三重塔自体は、RC造りのどちらかといえば簡素なものだったが、その仏塔の簡素さを補って余りある・・・いや、
むしろ、三重塔の魅力を何倍にも引き立たせるほど美しく手入れされた
庭園風景。
この美しい庭園内になら、どんな簡素な仏塔を置いても映えるかもしれない。
例えば、
常念寺三重塔や、佐和山遊園五重塔、
平和大観音寺十重塔とか・・・・・
いや、そこまでは難しいか。
この日は紅葉の時期ともずれており、特に見頃の時期ではなかったが、それでも十分な美しさである。
庭園内には桜や菖蒲などが植えられ、季節によって様々な表情を見せることだろう。
私の自宅から仙台市は遠いので、もう一度ここへ来るのは難しいだろうが、季節ごとに訪れてみたい寺である。
次は日本100名城の一つ、多賀城跡へ向かった。 時間は午後2時を回った所である。