重要文化財 金鑽神社 多宝塔 (埼玉県児玉郡神川町)


金鑽神社(―)
多宝塔
重要文化財
天文3年(1534年)

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(歴史)

社伝によれば、日本武尊が東征の帰途、伊勢神宮で叔母の倭姫命より賜った火打金を御霊代として、 この地の御室山(御岳山)に奉納し、天照大神と素戔嗚尊を祀ったのが始まりとされている。
 鎌倉時代には、武蔵七党の一つ、児玉党の尊信が厚く、近郷二十二ヵ村の総鎮守として 祀られていた。 江戸時代には徳川幕府から御朱印30石を賜り、別当の一乗院とともに栄えた。

重要文化財に指定された3間4面の柿葺の多宝塔は、天文3年(1534)に、阿保郷丹荘の豪族である 阿保弾正全隆が寄進したもので、心柱に「天文三甲午八月晦日、大檀那阿保弾正全隆」の 墨書銘がある。


(仏塔訪問日記)

この日はお昼にレンタカーを借りて、国宝・正福寺地蔵堂(東村山市)→日本100名城・ 川越城(川越市)→日本100名城・鉢形城と 巡った後、重要文化財の多宝塔を有する金鑽神社まで来た。

ところで、当サイトは仏塔巡りがメインなので、サイト開設当初から五重塔、三重塔、多宝塔などの仏塔巡りを続けてきたわけだが、 日本全国で数多くある仏塔の中で優先して巡るべきなのは、やはり、国宝または重要文化財に指定された仏塔である。
 ということで、国宝指定の仏塔はずいぶん前に巡りつくしたのだが、重要文化財指定の仏塔に関しては、2016年08月13日時点で、 五重塔が、残り4基、三重塔が残り3基、そして、多宝塔に関しては、この日、この金鑽神社多宝塔を拝観したことにより、 残すところ、千葉県南房総市の石堂寺多宝塔1基のみとなった。
 当サイトが仏塔巡りをメインとする以上、最低限、重文指定のものだけでも、早めにすべて巡っておきたいところだが、 残り合計8基の仏塔はどれも、私が住む大阪から遠くて行きにくい場所にあるものばかりである。
 今回の金鑽神社多宝塔にしても、大阪から日帰りで来るには難しい場所にあるため、 前回の清水寺子安塔(2013年4月に拝観)以来、実に3年4ヶ月ぶりの重要文化財指定の仏塔拝観となった。
 実は当初の計画では、せっかくの機会だからということで、1泊2日の史跡巡りの二日目に、栃木県の西明寺三重塔(重要文化財)と、 茨城県の小山寺三重塔(重要文化財)まで行くことも考えたのだが、他にいくつかの国宝建築や、 日本100名城も巡るうえ、お盆の混むこの時期に行くには少し距離がありすぎるということで、それらはまたの機会にすることにした。
 なので、金鑽神社多宝塔は、今回の史跡巡りで唯一の重文指定の仏塔。 おのずと私のテンションの上がり方も違っていた。

鉢形城の見学を終えて金鑽神社に到着したのは4時すぎ。 まだまだ日は明るかったが、そろそろ薄暗くなり始めていた。  駐車場に車をとめて歩いていくと、すぐに多宝塔が見えてきた。 私はそれを肉眼で間近で見て、 やはり重要文化財仏塔は、無指定のものとは美しさのレベルが違うなと、感嘆のため息をついた。
 そのため息も束の間、今度は、その美しい多宝塔を、私が感動したまま美しく撮影できるかと不安になってきた。

仏塔の写真集を出版しているプロの写真家の方が、その写真集のあとがきで、 仏塔の写真を撮るにあたって、苦労したのはどういう時かということを述べていたのだが、 狭い場所に建つ仏塔を撮影する際に、その高さに対しての引きが少ないために、極端に近くから仰ぎ見るアングルになってしまうことや、 長い年月で和洋の黒塗りや木地の黒ずんだ塔は、天候を選んでもその木組みまでうまく写らないことなどを挙げていた。
 さすがはプロの写真家。 これらはまさに、仏塔マニアの間での、『仏塔撮影あるある』である。
 私は他に、仏塔の周囲に木々が生い茂っているときと、夕暮れどきの撮影の苦労も、その『仏塔撮影あるある』に加えたい。

で、金鑽神社多宝塔は、どうなのかというと、以上述べた仏塔撮影四大悪条件すべてを、それぞれ極端ではないにしろ、 少しづつ満たしているのである。
 まず夕暮れどきなのは私の来た時間の都合なので置いとくとしても、狭くて小高い場所に建っている点、 長い年月で木地が黒ずんでいる点、周囲に木々が生い茂ってる点は、すべて当てはまっている。
 おまけに、少し離れて望遠レンズで撮ろうとしたら、今度は手前の電線がかぶっていしまうというオマケ付きである。
 そういう悪条件で悪戦苦闘しながら撮影した結果が上下のいくつかの写真である。  悪条件を言い訳にしたが、それを抜きにしても、ピントが合っていないなど根本的に上手く撮れていないのは認めるところである。
 しかし、写真の出来は置いておいて、金鑽神社多宝塔が、私が今まで拝観したすべての仏塔の中で、 最も美しいものの一つであったことは間違いない。  北関東史跡巡り一日目の最後に、繊細でいて、あまりにも美しい多宝塔を拝観できて、大満足で初日を締めくくることができた。

私はその余韻冷めぬまま、今晩泊まるビジネスホテルがある、群馬県藤岡市へ向かった。

明日、二日目は、群馬県高崎市の箕輪城(日本100名城)からスタートする。


泊まった藤岡市内の某ビジネスホテル


初回訪問日&撮影日 2016年08月13日











金鑽神社への交通アクセス
JR東日本高崎線「本庄」駅、またはJR東日本八高線「丹荘」駅から、朝日バスで「新宿」バス停下車 下車後、 「新宿」交差点から国道462号線を東へ徒歩約20分

駐車場 有

仏塔巡礼ドライブ難易度 (★)

★1つ→非常に易しい
★2つ→易しい
★3つ→ふつう
★4つ→難しい
★5つ→非常に難しい

金鑽神社へのおすすめアクセス方法

自動車によるアクセスがおすすめ

住所

埼玉県児玉郡神川町字二ノ宮750


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