（歴史）

長寿寺の創建についてははっきりしないが、寺伝によると、聖武天皇の天平年中（729〜748）に、 聖武天皇の勅願により良弁僧正が建立したという。
　聖武天皇が大仏造営のため一時信楽宮に遷都していた当時、世継ぎがなく良弁に祈請せしめた。 　良弁が阿星山中の瀑布に籠って祈った結果間もなく降誕をみるに至った。 　そこで聖武天皇の勅願により、良弁が信楽宮の鬼門を封じるため寺を創建し、 聖武天皇の皇女誕生に七堂伽藍を建立し、皇女生誕にちなむ子安地蔵尊を行基菩薩に刻ませて本尊とし、 皇女の長寿を願い長寿寺と名づけたという。
　その後平安時代には、阿星山五千坊と呼ばれるほどの天台仏教園を形成し、 鎌倉時代には源頼朝が、室町時代には足利将軍家が祈願所として諸堂を造改修したと伝わる。

国宝に指定された本堂は、創建時期ははっきりしない。 　その建立形式により鎌倉時代前期に建てられたものとみられるが、平安時代極末期とする説もある。 　桁行5間、梁間5間、屋根一重寄棟造、向拝3間檜皮葺、4面廻廊という天台伽藍には珍しい 当時の和様仏堂の代表的建築である。

実験的企画　国宝建築評価チャート図

国宝建築の能力値をサイト管理人が独断と偏見で点数化

（※）評価基準

○歴史　建造物の建立された年代の古さを点数化したもの。
　飛鳥時代以前（２０点）、奈良時代（１９点）、平安時代（１８点）、 鎌倉時代（１７点）、南北朝時代（１６点）、室町時代（１５点）、戦国時代（１４点）、安土桃山時代（１３点）、江戸時代前期（１２点）、 江戸時代後期（１０点）、明治時代（８点）、大正時代（６点）、昭和時代前期（５点）、昭和時代後期（３点）、 平成時代以降（１点）

○迫力　建造物の巨大さ、あるいは見た目の迫力を点数化したもの。

○美しさ　見た目の美しさを点数化。

○希少性　その意匠や形式などが同じ分類である建造物の現存例の少なさを点数化。

○おすすめ度　管理人のおすすめ度を点数化。主に観光満足度、その他、インパクトなどを重視。

以上はすべて、正式なものではなく、管理人の独断と偏見による評価である。

（国宝建造物訪問日記）

この日は『国宝・湖南三山めぐり』紅葉探訪−秋に色づく天台古刹へようこそ−というイベントが行われており、 湖南三山である長寿寺と、常楽寺、善水寺の各寺では、特産物の販売や、イベント等が催されていた。
　で、常楽寺、善水寺は、かなり前にすでに拝観済みだったので、 今回は、この中で唯一未拝観だった、長寿寺へ来てみることにした。
　実はこの長寿寺。　以前に善水寺をはじめとした滋賀県内の国宝建築を巡った時に、 拝観しようと門前まで来てたのだが、受付に誰もいなかったので、電話を入れてみると、 「今日は体調が悪いのでお帰りください」と、門前払いを受けた過去を持つ。 　だからあまりいい印象がなかったのだが、さすがにイベント開催時にそんなことはないだろうと、 今回『国宝・湖南三山めぐり』のイベントを知った私は急遽、来てみることにしたのである。

ＪＲ草津線「石部」駅を下りた私は駅前で、コミュニティバスめぐるくんが停車しているのを見つけたのだが、 路線バスとしてはかなり小さなマイクロバスだった。 　しかしまだ数人しか乗っておらず、発車時刻まで少し時間があったので、 すぐには乗り込まず、行きと帰りのバス運賃の小銭を用意するために、自販機でコーヒーを買い、 千円札を小銭にくずしておくことにした。
　そしてマイクロバスに戻ると、すでにほぼ満員状態になっており、バスに乗り込むと、 皆の視線は一斉に私の方向へ向いた。　私は唯一空いていた席に座り、待っていると、 更に高校生の集団が乗り込んできて、最終的に狭い車内がすし詰め状態になってしまった。
　そんな状態でマイクロバスが走り出したもんだから、バス停で降りる人がいる度に、通路にいる人たちが 降りる人のために一旦全員下りて更にまた乗り込むという面倒くさいことをしなければならないようだった。
　最終的に高校前のバス停で一挙に人が降りていったので、長寿寺前バス停に着く頃には乗客は数人になっていて 私はずっと座っててすんでよかった。
　長寿寺の方へ行くと、まだ拝観時間は始まっておらず、近くの物産店で時間を潰し、9時になるといよいよ 長寿寺受付へ。
　『国宝・湖南三山めぐり』期間中は、JAFの会員カードを見せれば、 拝観料500円が450円になるサービスが受けられるので、私はカードを見せた。 　すると受付の人が、「お釣りがでないようにお願いします。　無ければ1000円いただいてますので」と言ってきた。
　私は何か感じ悪いなと思いつつも財布を見ると、先ほど駅前で行き帰りのバス運賃を用意するために自販機で 小銭にくずしていたので、ちょうど450円あったので1000円は支払わずに助かった。
　しかしそのおかげで帰りのバス運賃は車内両替機で両替しなければならなくなってしまったが。 　私は、狭くて揺れるバス車内の両替機で両替するのが好きでないから、せっかく小銭にくずしていたのに、 まさかその小銭をここで使うことになるのは予想外だった。
　私は何も、貴重な国宝・本堂を見せてもらうのに、たかだか1000円程度の拝観料をおしんだ訳ではないし、 ましてや帰りのバスで両替するのを面倒くさがったわけでもない。 　何よりも、以前に体調が悪いといって門前払いまでくらった相手のために、なんで余分なお金を支払わねばならないのかと、 少しムカついただけだ。

とにもかくにも私は拝観料きっちり450円をはらい、境内へはいりすみずみまで見学した。
　寺そのものは、国宝・本堂を筆頭に、白山神社拝殿や、弁天堂、石造多宝塔など見所が多く、 美しい紅葉も相まって、非常に素晴らしかった。　ただし、体調が悪いといって門前払いをしたり、拝観料のお釣りをはなから用意しないなど、管理人の印象はお世辞にもいいとは言えなかった。 　長い歴史を持つ貴重な本堂有する長寿寺そのものと全く関係のないところで評価は下がってしまったのは残念だ。 　だから上記の国宝建築評価チャート図の、おすすめ度の項目は、17点と少し低め。 　ただし、本堂そのものの外構の撮影は自由にさせてもらえるので、極端に低くはしなかった。
　いや、そもそも、国宝・長寿寺本堂の美しさ、荘厳さの前では、 そんな些細でくだらないことなど無にして余りあると言ったほうがいいかもしれない。 　是非とも紅葉の時期に参拝することをおすすめしたい。

（※国宝建造物撮影ポイント）