県内には国宝指定仏塔が３基ある。 　近畿以外の五重塔では最古を誇り、川底に埋もれた中世の港町、草戸千軒の経済力を背景に建造された『明王院五重塔』、 鎌倉時代建立多宝塔で最高の高さを誇る『浄土寺多宝塔』、瀬戸内海に浮かぶ生口島に聳える禅宗様の『向上寺三重塔』 の３基であるが、『五重塔』、『三重塔』、『多宝塔』、すべての国宝仏塔が トリプルで存在する都道府県は、この広島県だけである。
　重要文化財仏塔も個性的なものが多い。　五重塔を後年に三重塔に改造したという『天寧寺三重塔』と、 純和様の復古調で建てられた『西國寺三重塔』は、国宝『浄土寺多宝塔』や『向上寺三重塔』と同じ尾道市内にある。 　他に日本三景の一つであり世界遺産にも登録された宮島の『厳島神社』にある『五重塔』と『多宝塔』も 重文指定仏塔である。

仏塔以外の国宝建造物も数多いが、『明王院本堂』、『浄土寺本堂』、『厳島神社本社本殿、幣殿、拝殿』、 『摂社客神社本殿、幣殿、拝殿』など、国宝重文仏塔と同じ場所にある建造物が多いので結構巡りやすい方だと言える。
　他に広島市内の『不動院本堂』も国宝建造物である。

県内すべての仏塔や国宝建造物を巡ろうと思ったらかなりの日数を有するだろうが、それらは尾道市内や宮島、福山市などに 複数集中しており、他に県内南部地域に点在している指定無仏塔とともに効率よく巡れば少ない日数で済むだろう。