まず国宝指定の仏塔は、高野山内仏塔最古であり日本三名塔に数えられる『金剛三昧院多宝塔』を筆頭に、 本堂や大門とあわせてトリプルで国宝指定である『長保寺多宝塔』や、唯一現存する中世の大塔である『根来寺大塔（多宝塔）』という 貴重で個性的な多宝塔３基が挙げられる。
　重要文化財の仏塔は、『紀三井寺多宝塔』と、『浄妙寺多宝塔』、一切一般公開していない『安楽寺 多宝小塔』という３基の多宝塔である。
　以上県内には国宝指定の仏塔が3基、重要文化財指定の仏塔が3基あるのだが、そのすべてが多宝塔である点からも、 同県では昔から多宝塔建造が盛んだったことがうかがえる。
　しかし県指定文化財に目を向けると、『道成寺三重塔』のように 古い三重塔も現存している。　他に高野山内には多数の指定無仏塔が存在するが、江戸時代建立の『金剛峯寺金輪塔』と 『金剛峯寺西塔』を除いて近年に建てられた新しい塔ばかりである。

和歌山県内の国宝建造物は前述の多宝塔３基を含めて７件もあり、『金剛峯寺不動堂』や『善福院釈迦堂』 など、非常に古くて貴重な建造物が名前を連ねている。

県内の仏塔や国宝建造物をすべて観て回ろうと思ったら、結構な日数を要するだろう。　特に、 『青岸渡寺三重塔』（指定無）は、ずば抜けて交通の便が悪い場所にあるので、遠方の人はかなり大変かもしれない。