国宝 仁科神明宮 本殿及び中門(前殿)、釣屋 (長野県大町市大字社宮本1159)本殿及び中門(前殿)(国宝) 中門(前殿)(国宝) 本殿(国宝) 仁科神明宮 本殿及び中門(前殿) 国宝 江戸時代初期 HOMEに戻る | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(歴史)神明宮はもともと仁科御厨鎮護のために勧請されたのだが、その創始の年代は明らかになってはいない。 現在の社殿は寛永13年(1636)に、松本藩主松平直政が、 式年造営を奉仕、藩士池田吉久を奉行とし、大工金原周防によって造り替えられたものである。 文献の示すうえでは、少なくとも永和2年(1376)以来、二十年ごとに式年造営が行われ、 工人が世襲的に奉仕していたとされ、寛永の造営を最後にその後は、十数回の修理補修を受け、 昭和14年保存法による解体修理が行われたのだという。 本殿及び中門(前殿)は、神明造唯一の国宝で古い様式を伝える。
それは、切妻造の平入で、屋根に反りがなく、大棟の上に堅魚木をのせ、端の垂木または
破風板が突き抜けて千木になる。 本体の柱とは別に、棟木を支えるために独立した二本の柱
(棟持柱)がある。 最も古い神社の形式であり、江戸時代までは伊勢・志摩地域に集中していたという。
実験的企画 国宝建築評価チャート図国宝建築の能力値をサイト管理人が独断と偏見で点数化(※)評価基準 ○歴史 建造物の建立された年代の古さを点数化したもの。
○迫力 建造物の巨大さ、あるいは見た目の迫力を点数化したもの。 ○美しさ 見た目の美しさを点数化。 ○希少性 その意匠や形式などが同じ分類である建造物の現存例の少なさを点数化。 ○おすすめ度 管理人のおすすめ度を点数化。主に観光満足度、その他、インパクトなどを重視。 以上はすべて、正式なものではなく、管理人の独断と偏見による評価である。 (国宝建造物訪問日記)仁科神明宮は、それほど多くの参拝者が訪れる神社ではなく、
おそらく全国的な知名度も高くはないのではないかと思うが、
国宝に指定されている本殿及び中門(前殿)は、日本各地に数多くあるすべての神社建築のルーツを語るうえで、
欠かすことのできない非常に重要な建造物の一つなのである。
『春日造』は、切妻造・妻入の全面に、庇(向拝)をつけたもの。 四周に高欄付の縁を巡らし、 棟には千木と堅魚木を上げる。 梁間1間の小規模のものが多く、まれに3間のものもある。 左右に反り上がる照り屋根を特徴とする。 春日造国宝建築の代表例
A大社造 『大社造』とは、切妻造・妻入、梁間2間、桁行2間の建物であり、大棟の上に千木と堅魚木をのせる。 本殿中央には特に太い柱、岩根柱(心の柱)を建て、その柱から向って右の横に壁がのびて、 その後ろに神座を安置する。 前後面中央の柱(宇豆柱)が少し外側に出ており、 正面の扉及び階段が、宇豆柱の右にかたよっている。 出雲大社本殿で代表され、現在のその本殿の建物の高さは8丈(約24m)で、 神社本殿建築のなかで最大である。 大社造国宝建築の代表例
B神明造 『神明造』は、切妻造の平入で、屋根に反りがなく、大棟の上に堅魚木をのせ、端の垂木または 破風板が突き抜けて千木になる。 本体の柱とは別に、棟木を支えるために独立した二本の柱 (棟持柱)がある。 最も古い神社の形式であり、江戸時代までは伊勢・志摩地域に集中していたという。 伊勢神宮正殿は神明造の基本とされるが、他の神明造と異なる独自の特徴があり、特に『唯一神明造』と呼ばれる。 神明造国宝建築の代表例
C流造 『流造』は、切妻造・平入の前面に向拝(庇)をつけたもの。 この名称の由来は、 平入前面の屋根が向拝をつけて流れるように延びていることによる。 四周に高欄付の縁を巡らす。 神明造から発展し、仏寺の影響で照り屋根となり前流れの屋根が曲線形に長くのびて向拝になっている。 正面間口3間の「三間社」流造が、社殿形式としてもっとも多い。 流造国宝建築の代表例
(※)その他の流造国宝建築 阿蘇青井神社本殿(未拝観) D住吉造 『住吉造』は、切妻造・妻入。 内陣・外陣の側面は各2間となり、平面は長方形になる。 妻入は中央口、棟は箱棟、破風は直線形、妻飾は扠首組である。 屋根に反りがないこと、縁や組物を持たないことから、 古式を残すと考えられている。 現在の住吉大社本殿には正面に拝殿がついており、 同形式、同規模の四つの本殿が船団のように並んでいる。 住吉造国宝建築の代表例
以上の神社本殿の基本的な五つの様式は、おおむね平安時代までには出揃ったが、続く鎌倉時代以降は、
それらを複合、変形した形式がつくりだされていく。
『権現造』とは、別名『石間造』ともいう。
本殿と拝殿を板敷の石間または相の間という別棟の中殿でつなぎ、一連の建物としたもので、
奈良時代の双(ならび)堂ですでに見られ、平安時代に北野天満宮、桃山時代に豊国神社等があるが、
江戸時代に久能山や日光の東照宮、輪王寺大猷院で用いられて流行した。
F入母屋造 『入母屋造』とは、寄棟造の上に切妻造を重ねた形式だが、もともと切妻造の母屋の四周に庇をつけたものと考えられる。 平安〜鎌倉初期に、もと仏寺・宮殿に見られたものを神社本殿に転化したという。 御上神社本殿が最古の例とみられ、母屋一間四方を神座とし、本殿は三間四方で、前面・左右面に回り縁を巡らす。 なお入り口は妻入と平入の場合がある。 入母屋造国宝建築の代表例
G比翼入母屋造 『比翼入母屋造』とは、別名『吉備津造』ともいい、吉備津神社本殿の様式である。 正面5間、側面8間、二重庇つきで、入母屋造の二つの屋根を棟を平行に前後に並べ、比翼入母屋造を形成している。 また、二つの大棟を直角に結ぶ中央棟が通っており、前面に切妻造裳階付の拝殿をつけている。 比翼入母屋造国宝建築の代表例
H日吉造 『日吉造』とは、日吉大社本殿を代表とし、切妻造、平入りの母屋(内陣)を中心に、前と左右に庇をつけて外陣とする。 母屋の床は庇より一段高く、高欄つき回縁がある。 他に向拝をつけ浜床を設けている。 日吉造国宝建築の代表例
I両流造 『両流造』とは、切妻造の身舎とその前後の庇の破風板が一流になっている流造の発達した形態である。 厳島神社本社本殿がその典型。 両流造国宝建築の代表例
J切妻造 『切妻造』とは、屋根形状のひとつで、屋根の頂部の水平な大棟から両側に葺きおろす形式の屋根のことである。 切妻造は、単に切妻ともいい、「妻」は「端」(つま)の意味で、屋根の妻(端)を切った形というところからきており、 この屋根をもつ建築物の様式を『切妻造』と呼び、切妻屋根ともいう。 切妻造国宝建築の代表例
K八幡造 『八幡造』とは、2棟の切妻造、平入りの建物が前後に接続した形をなす。 前殿・後殿の中間に1間の相の間がつき、 その上の軒と軒の接する所に金銅製の樋を渡してある。 宇佐八幡宮や石清水八幡宮が典型例。 八幡造国宝建築の代表例
以上、神社本殿の五つの基本様式と、さらにそれ以外の主要な建築様式を7様式、合計12の建築様式を挙げ、 更にその代表例の国宝建造物の画像を並べてみた。 基本、これら12の神社建築様式は、国宝建造物が存在するもののみとなっているので、 他に、『大鳥造』、『見世棚造』、『浅間造』、『相殿造』、 『祇園造』といった建築様式については代表例を挙げることができないので割愛させていただいた。 さて、本日まで日本各地の国宝建築を巡り、巡った国宝建築の中でも特に神社建築を、このような建築様式ごとに分類分けすることは、
国宝建築巡りを始めた初期の頃からの目標でもあった。
仁科神明宮本殿と同じく、『神明造』の神社本殿は他にどういったものがあるかというと、
誰もが知る伊勢神宮正殿がある。 ただし伊勢神宮正殿は、神宮式年遷宮によって原則として20年ごとに建て替えられてきたので、
国宝指定はされていない。 基本的に、国宝指定をされるには、その建物の古さが大前提であるためである。
遠くに北アルプス連峰を望む風光明媚なこの地に、かくも神聖な、かくも美しい神社建築があるなんて、
この感動をどう表現したらいいのだろうか。
初回訪問日&撮影日 2019年03月08日
(※国宝建造物撮影ポイント)国宝である本殿と中門は、拝殿の後ろにあって正面からは見えないので左右から撮影。 |
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JR大糸線安曇沓掛駅 |
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アクセス
JR大糸線安曇沓掛駅 徒歩30分 駐車場 有 国宝建造物巡礼ドライブ難易度(★★) (★)・・・・・・・・・・非常に易しい (★★)・・・・・・・・易しい (★★★)・・・・・・ふつう (★★★★)・・・・難しい (★★★★★)・・非常に難しい 国宝巡礼おすすめアクセス方法 駅からは徒歩で30分と遠く電車の便数は一時間に一本程度。 自動車があれば楽である。 長野県大町市大字社宮本1159 |
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